ケノンと初の雪山トレッキング(2)in 白馬

たくさんの足跡も見た。カモシカや狐、リスに猿。
「このカモシカの足跡は新しいから、ガイド犬に驚いて逃げて行ったのかも」
「この木から下りたリスの足跡が、ここで終わってる。この木の上あたりで私たちを見ているかもしれませんね」
などなどと、ガイドさんが詳しく説明してくれる。必死に木を突いて、餌を探しているキツツキにも遭遇した。

ケノンも興味津々
ケノンも初めての体験に興味津々だ。穴に顔を突っ込んだり、動物たちの足跡を嗅いだり、野鳥たちのさえずりに耳を澄ませたりしていた。
私もはじめて、キツツキが木をつつく「トン、トン、トン」うという音を聞いた。まるで大工さんが家を建てているようた。
私の横を歩くケノン

でも、どこかに行こうとするとか、走り出すといったことは無かったし、何かを追いかけて行こうとすることもなかった。びっくりするくらいけっこうおとなしく、私のペースに合わせて、すぐ横を歩いてくれた。
たまに違う方向に行きそうになったときには声をかけると、 「あ、そっちなんだ」 といった顔で戻ってきた。
ケノンとの時間は始まったばかり
ケフィが使っていた赤い犬用リュックを背負って、私の横を歩くケノン。尻尾をフリフリ、耳をぴょんぴょんさせながら歩くケノンの姿を見ながら、私はケフィを思い出していた。
「私とケフィは赤いリードで結ばれているんだもんね」
私は、いつもそう、ケフィに話しかけていた。
ケノンはいったいどうだろうか。まだまだ「どこにも行かないと言い切る自信はない。けれど、こういう時間を経て、信頼関係を深めていくのだろう。
私とケノンの時間はまだ始まったばかりなのだ。


