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やっぱり11月は別れの季節(1)

ゆめ ややこしいので詳細は、はしょらせていただくが、私はここ数年、二つの家を行き来している。具体的に言うと、でんすけやタマが暮らしている家ともうひとつの家を行ったり来たりして暮らしているのだ。

 そして、でんすけとタマがいるのとは違う家にも二匹の猫がいる。名前を「ゆめ(男のコ)」(写真)と「バター(女のコ)」と言う。

 ゆめはおそらく、でんすけより1~2歳年下の15歳くらい。バターはさらに若くて12~13歳くらい。

 老犬・老猫が多い我が家の猫たちのなかでは、バターは断然、若い方。そんな、まだまだ年若い、ついこの前までぴょんぴょん飛び回っていたバターが、11月10日(日)午前11時過ぎ、お星様になった。

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晴天の霹靂

 最年長のでんすけは、足腰も弱ってきたし、歯も抜けた。甲状腺機能亢進症になったし、そこから来る心臓の異常も発見された(今は薬で落ち着いているが)。さらに腎臓の値も異常値へとじわじわと近づいている。

 まもなく13歳になるケフィも、最近は体力の衰えを隠せない。大型犬なので、人間に換算するとでんすけよりも高齢の可能性だってある。
 少しずつ寝ていることが増え、毛が白くなって、目も衰えてきた気がするし、皮膚炎など肌の疾患にかかることが多くなった。

 こうした衰えはもちろん、悲しいし、ない方がいいことなのだけども、「年を重ねたのだから仕方がない」と思える部分もあった。ある意味、近づいてくる別れの準備を少しずつさせられている感もあった。

 でも、バターは違う。またまだ体力も筋力も衰えてなどいなかったし、とくに具合が悪そうにも見えなかった。

 だから、バターが動けなくなった朝、病院へ連れて行って「末期がん」と告げられても、にわかには信じられなかった。

「何かの間違いだよね」

 そうつぶやくしかなかった。まさに晴天の霹靂だったのだ。
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そしてバターはお星様になった(1)

バター 今になって思い返してみると、バター(写真)には確かに、小さな変化がいくつも起きていた。
 その異変が始まったのは今年7月末。毎年恒例である南の島への旅から帰ってきた頃からのことだ。

 それまでは、駐車場に車が止まっただけでベランダまで出迎えていたバターが、お気に入りの場所に潜り込で寝ているようになった。

 大好きだった猫じゃらしを振り回しても、以前のように元気よくジャンピングキャッチをしようとはしなくなった。

 人間が大好きで、いつでも人にべったりの甘えん坊だったのに、洋服ダンスの中に入ってひとりでじっとしていることが増えた。

 そんなバターの変化を「おとなになったからかな?」と、私は片付けていた。

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食が細くなった8月後半

 8月後半になると、食べ物のえり好みが一段と増えた。
 大好きなブランドの猫缶も、開けたてじゃないと食べなかったり、ひとなめしただけで終わってしまうこともあった。

 それでも、大好きな半生のお刺身(マグロなどをグリルで軽くあぶったもの)は食べていたし、何より、もともと食の細い猫だったので、そんなに大げさに考えていなかった。

 たぶん、生まれつき胃腸が丈夫ではないのだろう。少し食べ過ぎると、それから数日は何も口にしないで自分で調整を図るということが、今までもよくあったのだ。

 9月に入ると何日間も食べないことが続き、超高級な猫缶を買ってきては次々と開け、刺身や焼き魚をほぐしてあげたりしないと食べなくなっていた。

川の字で寝ていたのに

 9月後半くらいには、寝るときに寝室に入ってこなくなった。それまでは、いつも人間と一緒に川の字になっていたのに・・・。
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そしてバターはお星様になった(2)

バター 今、考えてみれば、じょじょに体調が悪化していたのだと思う。

 私が「年を取ったからかな」とか「夏ばてなのかな」とか、思い込んでいたのは、みんな具合の悪いサインだったのだ。
 なのに私は、なんの手当もしないまま。10月7日の朝、バター(写真)は突然、歩行困難に陥った。
 
「もしや関節炎?!」と、あわてて病院に連れて行くと、「おなかの中に大きな腫瘍がいくつもできていて、腸閉塞を起こしています。検査をしてみないと詳しくは分かりませんが、おそらく悪性だと思われます」と、医師は告げた。

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打つ手がない?!

 翌日、都内でも名医と評判の獣医師のところでセカンド・オピニオンを受けた。
 ・・・結果は同じだった。しかも、その名医は触診だけでこう言ったのだ。

「この様子だと、肝臓などあちこちにがんが転移してると思います。もともと体重の少ない猫ですし、この体力では抗がん剤によってショック死することも考えられる。手術にも耐えられないでしょう」

 そして、続けた。

「とにかく最後までなるべく痛みが少ないように、残り少ない命をまっとうさせてあげてください。おそらくあと1月もつかどうかです」

「それって、もう打つ手はないまま、死を待つってこと?」・・・あまりも大きすぎる現実に、私は声を失うしかなかった。
 
飼い主しかいないのに

 すでにバターの体は、あちこちが病気に冒されていた。そんなふうになるまで、我慢していたのだから、きっと、とっても痛かったし、苦しかったし、つらかったのだと思う。
 
 それなのに私は、そんなバターの痛みや気持ちなどつゆ知らず、すべてを都合よく解釈してしまっていた。

 言葉を話せない動物にとっては、命を救うのは飼い主しかいないのに・・・。
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そしてバターはお星様になった(3)

バター バター(写真)がいなくなった家の中は、とてもがらんとしてしまった。

 あんな小さな、2.5キログラムくらしかない体が、そこにいなくなっただけなのに、こんなにも家が広く感じるのだからおかしなものだ。

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撫でてもらうのが大好き

 嬉しいときには、ピンと立てたしっぽをぷるぷる振るわせていたバター。片付け物をしていると、その上に乗っかって「なに、なに?」と邪魔していたバター。寒くなると浴槽のふたの上がお気に入りだったバター。お風呂場の手桶にためたお湯ばかり飲んでいたバター。「縦抱っこ」が大好きで、その姿勢で抱かれると人間の顔や唇をなめたりかじったりしながら、もみもみうっとりしていたバター。

 そして何よりも、人間に撫でてもらうことが大好きだった。

真夜中の攻防戦
 
 バターは、たとえ真夜中であっても、人間の挙動を見逃さなかった。私が暗闇でちょっと目覚まし時計でも見ようものなら、離れたところで寝ていてもすかさず走り寄ってきて、手をかじったり、うっすらと爪を立てては「撫でて!」と催促した。
 寝返りを打つと「起きた?」と、私の顔をのぞき込み、そっと手を当てて本当に寝ているのかを確かめていた。

 そんなとき、私は両手を隠して、熊に遭遇した人間さながら「寝たふり」を決め込んだものだ。そうでないと、そこからたっぷり10分は撫でさせられるから・・・。

 ベルベットのようにつややかな被毛、やせているわりにたぽたぽしたお腹と、そのまわりのふさふさの毛、ひんやりとした肉球の感触、すぅっと肌を撫でるときの爪の硬さ・・・バターの、バターにしかない、バターだけの、思い出や癖、体の感触は、まるで今朝のことのように蘇ってくる。

 なのに、もうバターはいないのだ。

ゆめもバターの夢を見る?!

 バターがいなくなってからというもの、やたらとバターの夢を見るようになった。
 夢の中でバターはいつもどおり、寝室の棚の上で丸くなっていたり、デッキでひなたぼっこをしていた。
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そしてバターはお星様になった(4)

ゆめ ゆめは、かれこれバターが子猫としてやってきたときから、ずっと一緒に暮らしてきた。本当に文字通り、ずっと一緒に暮らしてきたのだ。

 牽制しあったり、追いかけたり、バターに威嚇されたりしていたけど、バターはゆめを頼りにしていて、ゆめもバターのことが大好きだった。

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バターを探し続けて

 バターがいなくなった後、ゆめは、人間を玄関まで出迎えに来るたびに、何度も後ろを振り返っては、不思議そうにくるくる回っていた。たぶん「あれ? バターは??」と探していたんだと思う。

 いつも人間が帰宅すると、ふたりで鼻と鼻をくっつけて「よかったね」と挨拶していたのに、その相手がいないのだ。

 バターがよく入っていた洋服ダンスや、バターの指定席だったキャットタワーの最上部をつめては「にゃぁああお~」と、バターを呼んでいた。

 ゆめ自身は入ろうともしなかった押し入れの中や、戸棚などバターがいそうな場所に入り込んではゴゾゴソし、バターを探していた。

バター捜索が本格化

 バターがいなくなって三日ほどたった頃から、ゆめのバター捜索が本格化した。

「いよいよバターが、本当に見当たらない」と思ったのか、ゆめは「ぎゃぁああおおう」とものすごいけたたましい声を上げながら、1Fから3Fまでをフルに行ったり来たり走り回ってはバターを探していた。

 そして、あの犬並みに食べる大食らいのゆめの食欲が、落ちた。
 
 このままでは、ゆめまで死んでしまうのではないかと心配になるくらい、ゆめはしばらくの間、食べ物も口にせず、必死でバターを探していた。
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そしてバターはお星様になった(5)

ゆめ そして、いよいよバターがいないと確信した頃から、ゆめは急にとんでもなく人間に甘えるようになった。

 それまでのゆめは、いわば「孤高の猫」。バターのように寝室に来ることもほとんどなかったし、抱っこされるのは大嫌い。足下にすり寄って来ることはあっても、膝の上に載ることなんてめったになかった(パソコンのモニターの前を陣取って「撫でろ!」と言うことはあったけれど)。

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ゆめがバターになった?!

 ところが、まるでバターのようにいつでも人間を探しては、後をくっついて歩くようになった。
 ほとんど上らなかったキャットタワーの最上部に座ったり、人間の膝の上で眠ったり、抱っこを催促するようになった。まるでバターがゆめの中に入り込んだみたいに。

 もしかしたら、バターがいなくなって、不安で寂しいのかもしれない。いや、もしかしたら、「今まではずっと、バターに遠慮していただけだったのかもしれない」とも思う。

 ゆめはとっても平和主義だ。必要以上に人にまとわりつくことはなかったが、だからと言って見知らぬ人でも警戒しようとはしなかった。何しろ、犬やカラスとも友達になってしまうような猫だ。

 だから、後からやって来た、ちび猫のバターを思いやって、ごはんのときも、甘えるときも、眠るときも、「一番いいもの」をバターに譲ってきただけだったのかもしれない。13年間ずーーーっと。

まだまだ時間が必要

 今もまだ、バターはゆめの姿を借りて、その存在をアピールしてる。時折、本当にゆめをバターと見間違うこともある。

 それだけでなく、靴の中、タンスから取り出した洋服、ときには食品棚に置いた乾物類の袋の中から?! バターの毛が現れて、存在感を示している。
 かつては「あー、こんなところにも毛が付いてる!」と払い落としていたのに、今はそれができない。それもバターの一部だと思うから・・・。

 バターがいなくなったことを認めるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
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虹の橋をわたって・・・

バター 新年が明けた。
 とても「おめでとう」と言う気持ちにはなれないけれど、とにかく新しい年がまためぐってきた。

 早いもので、バター(写真)が亡くなって2ヶ月になる。
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毛皮を替えてもう一度

 いつのことだったか「亡くなったコは虹の橋のたもとで飼い主が来るのを待ってる」との話を聞いて以来、今までに見送ったたくさんの動物たちとの再会を楽しみにしてきた。
「いつの日か、私もお星様になったとき、もう一度、かわいがった動物たちと会えるのだ」と。

 でも最近、「愛したコは毛皮を着替えて、またかわいがってくれた人間に会いに来る」という話を聞いた。
 虹の橋をわたって、天国を回って、もう一度、生まれ出でる・・・。そうして人間は、生まれ変わったコと、もう一度、この世でめぐりあえるということだろう。

 もし、そうだとしたら、「虹の橋のたもとで再会できる」という考えよりも、もっと素敵だ。

ゆめも待ってる

 もし、毛皮を着替えて、生まれ変わる準備をしているのだとしたら、今頃バターはどのへんで、何をしているのだろうか。

 もう虹の橋は渡り終えたのか。虹の橋の長さはどのくらいあるのだろう。橋を渡り終えたすぐそこに、天国の入り口はあるのだろうか。天国は広いのか。いったいどこで、どうやって次に身にまとう毛皮を選ぶのだろうか。

 天国ではどのくらいの間、時間を過ごすのだろう。短いといいな、とも思うし、飢えや寒さが無い天国で長めに過ごすのも悪くないかも、とも思う。

 いつか、毛皮を着替えたバターが、でんすけのように家に迷い込んでくるかもしれない。タマのように、公園のしげみで、じっとこちらを見つめているかもしれない。

 バター! ゆめも一緒に待ってるよ。元気だったころのようにぴょんぴょん飛び跳ねて、一気に橋をわたって、天国を回って、降りてくるんだよ!
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このブログは「ミーちゃんを探して」を2017年2月20日にリニューアルしました。
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さいたま市岩槻区で地域猫として住民に愛されていた三毛猫の「ミーちゃん」。 このブログはまず、2008年に行方不明になったミーちゃんの情報収集のためにつくられました。 […続きを読む
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