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台風は動物の運命を変える(1)

クロ 先月の台風の日を境にして、クロはまったく姿を見せない。
 ミーちゃんがいなくなった経緯を知っている人々の間では「また、ミーちゃんのときと同じ人間にどこかに連れて行かれたのかな」と、ささやかれている。

 もちろん、それを知る手立てはない。ひたすら、クロがどこかで、だれかにかわいがられて、幸せでいることを祈るしかない。

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台風の翌日カラスに遭遇

 それにしても、台風というのはいろいろな動物の運命を変えるものだ。

 クロがいなくなった台風の日、東京武蔵野市の井の頭自然文化園ではリスが脱走し、新江ノ島水族館が保護していた迷いアザラシが死んだりした(この子は感染症だったらしいが・・・)。

 美容室に来るお客さんの家では、巣から落ちたらしい雀を拾ったというし、知人宅には「お宅の庭に雀の巣はありませんか?」と、雀の子を抱いた見知らぬ人が尋ねてきたという。

 前にこのブログでも書いたが、タマがうちの猫になったのも、でんすけがうちを出産場所に定めたのも、大きな台風が来た日だった。

 今回の台風では、猫はやってこなかったが、その代わり?に、カラスが落ちていた。

 台風の翌日、羽を傷めたのか飛べなくなり、仲間が巣へ帰った後もわが家の裏の公園でうずくまっている子どものカラスに遭遇したのだ。 
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台風は動物の運命を変える(2)

「このままでは死んでしまう」

 拾うべきか悩み、カラスに近づいた。近寄って見ると、子ガラス(だと思う。ちょっとこぶりだった)とはいうものの、けっこう大きい。くちばしも鋭い。

 抱き上げたら羽をバタバタとさせ、手をつつかれそうである。

サイチョウによるトラウマ

 個人的な話だが、実は私は鳥、とくに黒い鳥が苦手だ。
 4~5歳の頃、「世界の野鳥園」的な場所で受けたトラウマに起因する。

 当時、私の身長は1メートル足らず。野鳥園には、羽を広げると1メートルをゆうに超えるでかいサイチョウがいた。そして、私がサイチョウの檻の前を通りかかったとたん、羽をばたつかせ、くわぁぁぁぁぁ! というような奇妙な声を上げ、暴れ始めたのだ。

 黄色いくちばしがパックリと開き、極彩色に縁取られた目をむきながら、黒いサイチョウが暴れる姿は、異様な光景だった。 

 以来、私は鳥が苦手だ。とくに、黒くてくちばしが大きい鳥が苦手だ。

カラスは自力で移動

 カラスを拾おうかさんざん迷ったあげく、自治体に電話した。
 あいにく午後6時を回っていたため、「鳥を捕まえにいく業者と連絡が取れない」と言われ、捕獲してもらうのは翌日にすることにした。

「カラスだからって殺されてしまうことはないですよね?」と念を押す私に、窓口の人は少し口ごもり、「そういうことはないようにしたいと思います」と、歯切れの悪い口調で答えた。

 その後、様子をうかがっていると、カラスは自力で歩いて公園を敷地を出て行き、近所の庭の広いお宅へと入り込んだ。
 「人の家になんか入って大丈夫かな?」という心配と「これで見ないですむ」という軽い安堵感が私の中に広がった。

台風は動物の運命を変える(3)

 翌朝起きると、大きな庭があるお宅の前の道に、カラスがうずくまっていた。
 気づいたお宅の方が、敷地外へと出したのか、自力で道路まで出てきたのかは分からない。

 近寄ってみると、かすかに羽が波打っているので息はしているらしい。
 しかし、声をかけても目はつむったまま。

 明らかに昨夜より弱っている。車が通ってもよけることもできないらしい。

 ふたたび「このままでは死んでしまう」という思いがよぎった。が、昨夜の自治体窓口の人の口ぶりも気になった。
「もう一度電話したら、駆除されてしまうのではないか」・・・。

そう考えていたとき、かつて野鳥を拾ったときに鳥獣保護センターなる都道府県が持つ施設に電話したことを思い出した。

「あそこなら保護してくれるかもしれない」

 ネットで電話番号を調べ、鳥獣保護センターに電話すると、担当者がすまなそうにこう言った。
「条例で鳩とカラスは保護対象から外れているんです。そのため保護はできません。それに野鳥はえさをとれなくなるとすぐに衰弱しますから、治療が必要と思いますがカラスを見てくれる動物病院は無いと思います」

 そして、「野生動物だからそうやって淘汰していくのも運命と受け入れることも大切」というような主旨のことを言った。 

朱鷺との格差
 
 そんなことは、私も分かっている。自然の世界では、弱い者が淘汰されるのは百も承知。
 でも、カラスの生態系を変えたのは人間じゃないか。それを都合の悪いときだけ「野生の動物だから」と言っていいのか? 

 その朝ちょうど、「佐渡島の朱鷺が元気に成長している」とのニュースを見たところだった。
 「絶滅しかけの鳥だと、えさを食べたり巣から出るだけで大喜びされ、増えすぎたカラスは保護もしてくれないのか」 

 どちらも同じ命なのに。もとは朱鷺だって野生の動物じゃないか。人間が自然を破壊したせいでカラスはこんなにも増えてしまったのに(なぜカラスが増えたのか)。

台風は動物の運命を変える(4)

 まったくもって納得いかず、かといって、鳥獣保護センターの人を責めても拉致は開かず。
 今度は鳥を診てくれる病院を探した。

カラスを飼う?!

 するとあったのだ! 車で小一時間程度はかかりそうだが、電話すると「治療はできるし、飼い方も教えられますよ」と言う。

 さらに病院の人は続けた。
「おそらくそのカラスを野生に返すのは難しいと思いますし、害鳥であるカラスを保護する施設は公共の場にないので、飼っていただくことになりますけど」

 今までさんざん、捨て猫を拾っては育ててきた経験はある。しかし、カラスとなると、かなりハードルが高い。
 どうしようかと逡巡しているうちに、仕事に行かねばならない時間になってしまった。少なくとも今、車で病院に連れて行く時間はない。
 
 迷ったあげく「もし、帰宅したときまで生きていたら、私はカラスの飼い主になろう」と腹をくくった。そして、カラスに「どうにか今日の昼間を乗り切るように」と声をかけた。しかし、今朝方よりも反応はさらに鈍く、もう生きているのかもよく分からなかった。

台風は私の運命をも変えた

クロ 帰宅したとき、カラスはもういなかった。だれかが拾ったのか、息絶えて自治体の業者に回収されたのか・・・と思っていたら、数日後、公園の片隅にカラスの屍を見つけた。

「道ばたで動けなくなっていたカラスをだれかがここに捨てたのかも」
 そう思うと、やるせない気持ちになった。飛べずに右往左往していたカラスがふびんで、切なくなってしまった。

 以来、カラスが激しく鳴くたびに、「また、飛べないカラスがいるのではないか」と心配になる。街でカラスをみかけるたびに、「怪我などしていないか」「無事、ゴハンは食べているのか」と気になってしまう。

 今までは捨て猫に対してだけ張られていたアンテナ(昨今はめったに捨て犬を見ないので)にカラスまでもひっかかるようになってしまった。

 あの台風を境に、クロ(写真)だけでなく私の運命も変わってしまったのである。

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鳥たちの受難(1)

「いつから日本は、こんなにも住みにくくなってしまったのか・・・」

 前回の「迷子猫の不思議」(書き始めてから偶然、迷子犬に遭ってしまったため中身はほとんど犬の話だったけど)に書いたけど、つい先週も、そう実感することがあった。

ある日の夕暮れ

ケフィ
 東京の都心からから私鉄で40分弱郊外のとある駅での夕暮れ。

 そのとき私は、「早く帰ってケフィ(写真)の散歩をせねば!」と家路を急いでいた。
 「秋の日暮れはつるべ落とし」と言うけれど、その日は、まさにそんな感じで4時半を回ると、辺りは急激に薄暗くなり始めていた。

 駅に向かって一直線に延びた道に植えられた街路樹の上には、私と同じように家路を急ぐのであろう鳥たちが、盛んにさえずっていた。

「すっかり緑が少なくなってしまったこのあたりでは、この街路樹が鳥たちの家なんだろうな」

 そんなふうに思いながら、何気なく上空を眺めた。すると、鳥たちの様子がなんかおかしい。木に止まろうとはせず、集団で、けたたましい声を上げながら、ただひたすら街路樹の上をブーメランのように飛び回っている。

悲壮な雰囲気!

 その様子は「家路を急ぐ」なんていうほのぼのとした感じでは無かった。危機迫るというか、悲壮な雰囲気が漂っていた。

 いったい何事?!

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鳥たちの受難(2)

鳥 数メーター歩くと、その原因が明らかになった。

「けたたましい鳴き声」に聞こえたのは、人間がスピーカーから発する超音波のような、鳥の雄叫びのような、なんとも言えない奇妙な音と、その音に怯える鳥たちが発する叫び声が合わさった音だったのだ。

 おそらく自治体の職員なのだろう。2人の男性が巨大なスピーカーを両手で持ち上げ、空に向けていた。


ただ茫然

 私はただ茫然として、2人の男性の“仕事”を見つめるしかなかった。

 頭の中では、近所で出会った迷子犬のことや、クロのこと、ミーちゃんのこと、たまに最寄り駅のところで出くわす迷子らしき猫のこと・・・などなど、居場所を失った多くの動物たちのことが走馬燈のように駆け巡っていた。

 住処だった緑が切り倒されて駅が出来て、ようやく見つけた街路樹にさえ止まることが出来なかったら、鳥たちはどこで羽を休めたら良いのか。

 駅には「鳥の糞にご注意ください」という張り紙があり、鳥が止まりそうな場所にはトゲトゲの付いた鳥避けが設置されている。近くには公園や広場は無い。

 居場所を追われて飛び回る鳥たちの気持ちを考えると、胸がぎゅっとつかまれたように苦しくなった。
 鳥たちはいったいどんな思いで、街路樹の上を飛び回っているのか。いったいいつまで2人の男性はあの音を空に向けて放ち続けるのだろう。もう日暮れになるというのに、目の見えるうちに鳥たちは眠る場所にたどり着けるのだろうか。

足早に去っていく人たち

 私と同じように少しだけ立ち止まって鳥たちに目を留める人もいるが、ほとんどの人は立ち止まることもなく、ほんの少し空を見上げただけで足早に去って行った。その様子を見ていたら、なんだかとっても悲しくなった。
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鳥たちの受難(3)

カラス 以前、ある農家のおばさんに「畑の一角に虫やカエルのための場所を残しておくの。そうすることで、畑全体に虫やカエルの被害が広がることを防げるし、全部を取りあげたらかわいそうだよね」という話を聞いたことがある。

 それを聞いて「へぇ」と、いたく感動したものだ。そういう知恵があったからこそ、人は他の生き物と共生しつつ生きて来れたんだなぁと思った。四季のある国で、豊かな自然のおかげで暮らしを支えてきた日本人らしいと、誇らしい気持ちにもなった。


人間だけが便利な世の中

 ところが今はどうだろう。動物たちから自然を奪って、自由を奪って、動物たちを隅に追いやって、人間だけに便利な世の中をつくってのうのうと暮らしている。

 東京都とその周辺の都道府県では、ハトとカラスは害鳥あつかいで保護の対象から外れていることはすでにこのブログでも書いた。そして、自然を破壊し、ハトやカラスを増やしながら、しらんぷりしていることも書いた。
それどころか、ハトやカラスへのエサやりを禁止し、「野生動物は、自然のままの状態でいることが一番の幸せです」などと平気で言ってのけたりする。

 私も、東京のど真ん中のある公園で「ハトにエサをあげないでください。ハトは自然に帰しましょう」という看板を見たことがある。
 思わず「どこに自然があるの? エサをくれないなら自然を返してください。ハトより」と、看板に書いてやろうかと思った。
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鳥たちの受難(4)

犬 こんなにも動物が隅に追いやられている国は、めずらしいのではないかと思う。

 確かにイスラム圏では「犬は不浄なもの」とされていて「石持て追われる」なんてことはある。
 だけどそれはあくまでも宗教上の問題だ。逆にイスラム教で神聖視される牛は大事にされているし、イスラムの教祖・マホメットがかわいがっていた猫は堂々と街を闊歩している。

 ドイツのベルリンでは飼い主の責任で犬(たとえ大型犬でも!)はノーリードで連れて歩けるし、インドに行けば馬や牛が普通に道ばたを歩いていたりする。アジア圏ではだれが飼い主なのかよくわからない犬が、気ままに日陰で寝そべっている。

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海外では 
 
 それ以外の街でも(たとえばフランスやスイスなど)、私自身、ノーリードの犬や看板圏として自由に街中を歩いている犬を何度も見た。 

 ジュネーブのホテルでは、扉が開いたエレベーターの中に当たり前のように犬を連れた人が立っていてびっくりしたこともある(けして「ペットOK」などと掲げているホテルではなかった)。

 タイのリゾート地では、テラス席に座ると必ず犬たちに囲まれたし、ギリシャでは猫にウィンクされた。台湾では、なぜか懐かれた野良犬? がどこまでも追ってくるのでまくのに困ったこともある。
 日本以外の国は、日本よりももっとずっと動物に優しい気がする。

ペットブームと言うけれど
 
 日本は空前のペットブームと言うけれど、鳥は止まり木さえも無く、猫は自由に外に出て日向ぼっこすらできない。ましてや犬は・・・。そんな日本は、はたして動物にとって優しい国と呼んでいいのだろうか?
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ブログリニューアル
このブログは「ミーちゃんを探して」を2017年2月20日にリニューアルしました。
ブログについて
さいたま市岩槻区で地域猫として住民に愛されていた三毛猫の「ミーちゃん」。 このブログはまず、2008年に行方不明になったミーちゃんの情報収集のためにつくられました。 […続きを読む
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