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迷子猫の不思議(4)

ケフィ 翌朝、窓を開けて公園を眺め回してみたが、とくに異変は無い。
 人々が起き出して居場所を追われれば、昨夜の犬は道ばたから公園に逃げてくるかもしれないと思っていたが、それらしき姿はない。

「まだ、あの場にいるんだろうか?」

 気になったが、確かめに行く勇気がなかった。いなくなっていたら、どこに行ったのかと心配になる。行方を心配するのはミーちゃんとクロだけで十分だ。

 一方、もし、まだ犬がそこにいたら、今度こそ、放っておくことはできないだろう。だが、新しいコを迎えれば先住のコたちとの軋轢は避けられない。タマはもちろん、ケフィ(写真)も、犬が大の苦手だ。一緒に暮らしていくにはたくさんの困難がある。

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自分をごまかして

 ずるい話だが、「きっと、あの女性がどうにかしてくれたに違いない」と自分に言い聞かせ、なるべく犬のことを考えないようにした。

 そうやって自分の気持ちをごまかしたものの、それから1週間は、どうしても犬と遭遇した通りに足が向かなかった。
 タマの散歩をするときも、公園のすぐ横の道を曲がり、散歩コースをショートカットした。タマに謝りながら・・・。どこかであの女性とばったり会うのではないかと思いながら・・・。

女性は訪ねて来なかった

 でも、それからあの女性と会うことはなかった。訪ねても来なかった。かといって、見かけない犬が近所のベランダにいる姿も見なかった。
「考えないようにしよう」と思いながらも、やっぱりどうなったのか気になって仕方が無い。
 
 女性の住まいはだいたいどこにあるのか見当は付く。「いっそ、こちらから訪ねてみようか」・・・そんな思いが頭をよぎることもあったが、結局はそれもできなかった。

 犬と女性への申しわけなさを感じる一方、心の片隅で「最初に発見したのが私でなくてよかった」と安堵する自分もいた。
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迷子猫の不思議(5)

ワンコ それにしてもこの世の中はなんて住みにくくなってしまったんだろう。
『迷子のミーちゃん』でも書いた通り、ほんの一昔前までは飼い主のいない犬や猫がそのへんを歩いていてもだれも気に留めなかった。
 というより、そういう存在は当たり前だった。『ミーちゃん』に登場する地域犬・太郎しかり・・・。

 ところが今は、見かけない犬が道路に寝そべっているだけで、「いったいどこからやってきたのか」と、こんなにも気に病まなくてはならない。
 迷子になった犬や猫が、うっかりだれかの家の敷地にでも入り込んだら大事になる。

 猫が病気に感染することを心配するだけでなく、「隣近所のトラブルになるから」「迷惑をかけないように・・・」などの理由で、猫を家から出さない家も多い。

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みんな迷惑をかけながら生きている

 だけどそんなふうに「迷惑をかけない」よう様子をうかがい、気遣う社会が、本当に思いやりのあるいい社会なのかは分からない。
 
 生き物なんて、みんなだれかに迷惑をかけながら生きている。他の命をいただかなくては、生命維持はできないし、だれかの世話や恩恵にあずからなければ生きていくことは難しい。成長するまでに時間のかかるほ乳類ならなおさらだ。

 迷惑をかけ、だれかに依存しなければならない存在がダメで、「そんな奴らは日陰者として生きろ」というのならば、おとなに頼らなければ生きられない子どもには立場がないことになる。 

 そんなのはやっぱりおかしい。強い者だけが大手を振ってのさばる世の中は、絶対に間違っている。
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鳥たちの受難(1)

「いつから日本は、こんなにも住みにくくなってしまったのか・・・」

 前回の「迷子猫の不思議」(書き始めてから偶然、迷子犬に遭ってしまったため中身はほとんど犬の話だったけど)に書いたけど、つい先週も、そう実感することがあった。

ある日の夕暮れ

ケフィ
 東京の都心からから私鉄で40分弱郊外のとある駅での夕暮れ。

 そのとき私は、「早く帰ってケフィ(写真)の散歩をせねば!」と家路を急いでいた。
 「秋の日暮れはつるべ落とし」と言うけれど、その日は、まさにそんな感じで4時半を回ると、辺りは急激に薄暗くなり始めていた。

 駅に向かって一直線に延びた道に植えられた街路樹の上には、私と同じように家路を急ぐのであろう鳥たちが、盛んにさえずっていた。

「すっかり緑が少なくなってしまったこのあたりでは、この街路樹が鳥たちの家なんだろうな」

 そんなふうに思いながら、何気なく上空を眺めた。すると、鳥たちの様子がなんかおかしい。木に止まろうとはせず、集団で、けたたましい声を上げながら、ただひたすら街路樹の上をブーメランのように飛び回っている。

悲壮な雰囲気!

 その様子は「家路を急ぐ」なんていうほのぼのとした感じでは無かった。危機迫るというか、悲壮な雰囲気が漂っていた。

 いったい何事?!

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鳥たちの受難(2)

鳥 数メーター歩くと、その原因が明らかになった。

「けたたましい鳴き声」に聞こえたのは、人間がスピーカーから発する超音波のような、鳥の雄叫びのような、なんとも言えない奇妙な音と、その音に怯える鳥たちが発する叫び声が合わさった音だったのだ。

 おそらく自治体の職員なのだろう。2人の男性が巨大なスピーカーを両手で持ち上げ、空に向けていた。


ただ茫然

 私はただ茫然として、2人の男性の“仕事”を見つめるしかなかった。

 頭の中では、近所で出会った迷子犬のことや、クロのこと、ミーちゃんのこと、たまに最寄り駅のところで出くわす迷子らしき猫のこと・・・などなど、居場所を失った多くの動物たちのことが走馬燈のように駆け巡っていた。

 住処だった緑が切り倒されて駅が出来て、ようやく見つけた街路樹にさえ止まることが出来なかったら、鳥たちはどこで羽を休めたら良いのか。

 駅には「鳥の糞にご注意ください」という張り紙があり、鳥が止まりそうな場所にはトゲトゲの付いた鳥避けが設置されている。近くには公園や広場は無い。

 居場所を追われて飛び回る鳥たちの気持ちを考えると、胸がぎゅっとつかまれたように苦しくなった。
 鳥たちはいったいどんな思いで、街路樹の上を飛び回っているのか。いったいいつまで2人の男性はあの音を空に向けて放ち続けるのだろう。もう日暮れになるというのに、目の見えるうちに鳥たちは眠る場所にたどり着けるのだろうか。

足早に去っていく人たち

 私と同じように少しだけ立ち止まって鳥たちに目を留める人もいるが、ほとんどの人は立ち止まることもなく、ほんの少し空を見上げただけで足早に去って行った。その様子を見ていたら、なんだかとっても悲しくなった。
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このブログは「ミーちゃんを探して」を2017年2月20日にリニューアルしました。
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さいたま市岩槻区で地域猫として住民に愛されていた三毛猫の「ミーちゃん」。 このブログはまず、2008年に行方不明になったミーちゃんの情報収集のためにつくられました。 […続きを読む
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