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富士山の迷い犬、富士男から考える(1)

富士男 今年、世界遺産に登録された富士山で、この7月に保護された迷い犬がいた。動物保護団体(RJAV被災動物ネットワーク)が命名した、その名は富士男だ。

 保護当時は、痩せて、栄養失調から皮膚炎になっていたそうだが、今は薬やサプリメントで治療し、回復しつつあるという。
 その頃はおどおどした様子を見せていたが、今は初対面の人でも怖がらなくなったそうだ(『東京新聞』2013年9月15日記事参照)。

 保護されたと報道された後、「引き取りたい」という問い合わせが全国から保護団体に殺到し、その問い合わせは1週間で約250件も! という。

 保護団体では、皮膚炎完治後に新たな飼い主を探す予定だとか。

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なんとなく消化不良

 もちろん、めでたい。飼い主のいない犬が、新しい飼い主と出会って幸せになることはとっても素晴らしい。・・・なのだが、なんとなくすっきりいかない。消化不良の感がある。

 富士男は、たまたま富士山が世界遺産となり、多くの報道陣らが詰めかけたからこそ、話題になり、保護された。

 そして、その様子をたくさんの人が見たからこそ、多くの「引き取りたい」という問い合わせが殺到したのだろう。

 しかし富士男は、もうずっと富士山頂で迷い犬として暮らしていた。おそらく、多くの登山客などがその姿を見かけていたし、地元ではそれなりに話題になったかもしれない。

 でも、保護しようという人はいなかった。
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富士山の迷い犬、富士男から考える(2)

 そう、そうなのだ。
 ずっとずっと、富士男は同じように富士山でさまよっていた。
 ガリガリに痩せて、皮膚炎も起こしていた。
 でもだれも彼を救おうとはしなかった。それなのに、富士山が一躍脚光を浴び、それにともなって富士男の姿が報道に載ったとたん、今度は大勢の人が引き取りたいと言い出す・・・。

一躍脚光を浴びる

 同じようなことは過去にもあった。

 たとえばこのブログで紹介した例では、昨年4月、アメリカのカリフォルニアで、捨てられて保護された母犬から生まれた犬(ビヨンセ)が、ティースプーンに納まるサイズの「世界最小の犬」としてギネスブック登録を申請したと知れ渡ったとたん、保護施設に「引き取りたい」という何百もの申し出が寄せられたというニュースがあった(「命の重さ」)。

 そのほか、2006年のがけっぷちで保護された「がけっぷち犬」も、そのときさんざん話題になった。

「知らんぷりを決め込んだ」苦い経験

 メディアが報道したとたん、いきなりたくさんの人が救いの手を差し伸べる。
 なのに、殺処分される犬猫の数はほとんど減らないという現実・・・。

 こんなことにこだわってしまうのは、私自身が「知らんぷりを決め込んだ」苦い経験があるからだろう。
殺処分カウントダウン
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富士山の迷い犬、富士男から考える(3)

ケフィ
「知らんぷりを決め込んだ」苦い経験・・・。ひとつは、今年の夏のことだ。
 毎年、夏は南の離島にケフィ(写真)を連れて行くのだが、その島での出来事だった。

 例年通り、ケフィお気に入りのビーチでボール投げをしていると、30代くらいの女性に「こんなに泳ぎのうまい犬を初めて見ました!」と声をかけられた。

 聞けば東京からご夫婦で旅行に来ているそう。いつも旅行は愛犬連れなのだが「今年の夏は暑いから、移動も大変かと思っておいてきたんです。こんなに涼しいなら(東京の猛暑に比べると島の夏はとても涼しい)、連れてきてあげればよかった」とのこと。

 お互い、しばし犬談義に花を咲かせた後のこと。女性がふいにこう言ったのだ。

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捨てられたシェルティ

「そう言えば、隣の島に渡る橋のたもとの駐車場に何年か前からシェルティがいるのをご存じですか?」

 その橋は何度も行き来したことがある。だが、シェルティになど遭ったことは無かった。

「橋を渡りきった方ではなくて、橋を渡る手前の方にいるんです。公衆トイレのすぐ横のあたり。車が止まると必ず出て来ますから、けっこう有名ですよ。きっと『飼い主が迎えに来てくれたのかも?』と思って出てくるんでしょうね。洗って手入れしてあげれば、きっとわいいコだと思うんですけど、毛が汚れて絡まってしまって、すごいかわいそう。連れて帰ろうかとも考えたのですが、家にも犬がいるし・・・」

 そう言って女性は、「いつかお金にも生活にも余裕ができたら、捨てられた動物の保護活動をしたいんです。動物を捨てるなんて、ほんと、許せない!」と声に力を込めた。

台風が近づく中で

 その夜、私はうまく寝付けなかった。
 ちょうど島に台風が近づいていた。今夜から明日にかけて、島は厳戒態勢に入った。雨風が次第に強くなり、宿の人から「車も飛びますから」と言われ、外出は厳禁と言われた。
 
「こんな嵐の中、そのシェルティはどうやって過ごしているのだろうか?」

 風におびえ、雨にふるえ、お腹を空かして丸まっているそのコの姿がまぶたに浮かんだ。
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富士山の迷い犬、富士男から考える(4)

 暖かい寝床や食べ物、守ってくれる人間を一度に失ってしまったシェルティ。
 人間に裏切られ、捨てられて、餓えと孤独と闘っているシェルティ。
 それでも飼い主を信じ、待っているシェルティ。
 車が止まるたびに「もしかして!」と一縷の望みにかけて飛び出して来るシェルティ。
 そのたびに「違ったんだ」と失望し、ガッカリするシェルティ。

 いったいどんな気持ちでいることだろう。それでも飼い主を慕い続けているなんて、なんて哀れなんだろう。・・・そんなことを考えると、胸がギューッと苦しくなった。

 頭の中では「放ってはおけない」という考えと「いや、犬嫌いのケフィが一緒に暮らせるわけがない」という考えが交互に浮かび、目はどんどん冴える一方だった。

実はその前の年も・・・

子猫 そして、しばらく思い出していなかったその前年の出来事を思い出した。やはり夏休みに、この島に来たときに出会った三匹の子猫と遭ったことだ。

 それはフェリーでしか行けない隣の島まで足を延ばしたときのこと。食事を終え、帰る途中で、車の前を黒い小さなものが横切った。

 ビックリして車を止めると、まだ生まれて1~2ヶ月程度の子猫がつぶらな瞳でじっとこっちを見ていた。

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このときもグルグル

 その周辺には民家が無く、道のすぐ横は熱帯のジャングルになっていた。とうてい子猫が散歩に来られるような場所ではない。

 さらに周囲を見回すと、道路脇にはサバトラっぽいコとミケっぽいコも座っていて、やはりつぶらな瞳でじっとこっちを見ていた。

「もしや捨て猫?!」

 このときも、頭の中がグルグルした。

「こんなところに子猫がいたら、すぐに野生の獣に食べられてしまうのではないか」「かといって旅行中に三匹もの猫をどうやって保護するんだ」「連れ帰って飼うことなんてできるんだろうか」
 
 車を降り、近づいていけば、三匹はきっとすぐに近寄ってきただろう。でも私には車を降りることができなかった。
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さいたま市岩槻区で地域猫として住民に愛されていた三毛猫の「ミーちゃん」。 このブログはまず、2008年に行方不明になったミーちゃんの情報収集のためにつくられました。 […続きを読む
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