ホームにもどる

そしてバターはお星様になった(2)

バター 今、考えてみれば、じょじょに体調が悪化していたのだと思う。

 私が「年を取ったからかな」とか「夏ばてなのかな」とか、思い込んでいたのは、みんな具合の悪いサインだったのだ。
 なのに私は、なんの手当もしないまま。10月7日の朝、バター(写真)は突然、歩行困難に陥った。
 
「もしや関節炎?!」と、あわてて病院に連れて行くと、「おなかの中に大きな腫瘍がいくつもできていて、腸閉塞を起こしています。検査をしてみないと詳しくは分かりませんが、おそらく悪性だと思われます」と、医師は告げた。

クリックで拡大

打つ手がない?!

 翌日、都内でも名医と評判の獣医師のところでセカンド・オピニオンを受けた。
 ・・・結果は同じだった。しかも、その名医は触診だけでこう言ったのだ。

「この様子だと、肝臓などあちこちにがんが転移してると思います。もともと体重の少ない猫ですし、この体力では抗がん剤によってショック死することも考えられる。手術にも耐えられないでしょう」

 そして、続けた。

「とにかく最後までなるべく痛みが少ないように、残り少ない命をまっとうさせてあげてください。おそらくあと1月もつかどうかです」

「それって、もう打つ手はないまま、死を待つってこと?」・・・あまりも大きすぎる現実に、私は声を失うしかなかった。
 
飼い主しかいないのに

 すでにバターの体は、あちこちが病気に冒されていた。そんなふうになるまで、我慢していたのだから、きっと、とっても痛かったし、苦しかったし、つらかったのだと思う。
 
 それなのに私は、そんなバターの痛みや気持ちなどつゆ知らず、すべてを都合よく解釈してしまっていた。

 言葉を話せない動物にとっては、命を救うのは飼い主しかいないのに・・・。
にほんブログ村 猫ブログ 地域猫へにほんブログ村 猫ブログ MIX三毛猫へ

そしてバターはお星様になった(3)

バター バター(写真)がいなくなった家の中は、とてもがらんとしてしまった。

 あんな小さな、2.5キログラムくらしかない体が、そこにいなくなっただけなのに、こんなにも家が広く感じるのだからおかしなものだ。

クリックで拡大

撫でてもらうのが大好き

 嬉しいときには、ピンと立てたしっぽをぷるぷる振るわせていたバター。片付け物をしていると、その上に乗っかって「なに、なに?」と邪魔していたバター。寒くなると浴槽のふたの上がお気に入りだったバター。お風呂場の手桶にためたお湯ばかり飲んでいたバター。「縦抱っこ」が大好きで、その姿勢で抱かれると人間の顔や唇をなめたりかじったりしながら、もみもみうっとりしていたバター。

 そして何よりも、人間に撫でてもらうことが大好きだった。

真夜中の攻防戦
 
 バターは、たとえ真夜中であっても、人間の挙動を見逃さなかった。私が暗闇でちょっと目覚まし時計でも見ようものなら、離れたところで寝ていてもすかさず走り寄ってきて、手をかじったり、うっすらと爪を立てては「撫でて!」と催促した。
 寝返りを打つと「起きた?」と、私の顔をのぞき込み、そっと手を当てて本当に寝ているのかを確かめていた。

 そんなとき、私は両手を隠して、熊に遭遇した人間さながら「寝たふり」を決め込んだものだ。そうでないと、そこからたっぷり10分は撫でさせられるから・・・。

 ベルベットのようにつややかな被毛、やせているわりにたぽたぽしたお腹と、そのまわりのふさふさの毛、ひんやりとした肉球の感触、すぅっと肌を撫でるときの爪の硬さ・・・バターの、バターにしかない、バターだけの、思い出や癖、体の感触は、まるで今朝のことのように蘇ってくる。

 なのに、もうバターはいないのだ。

ゆめもバターの夢を見る?!

 バターがいなくなってからというもの、やたらとバターの夢を見るようになった。
 夢の中でバターはいつもどおり、寝室の棚の上で丸くなっていたり、デッキでひなたぼっこをしていた。
にほんブログ村 猫ブログ 地域猫へにほんブログ村 猫ブログ MIX三毛猫へ

そしてバターはお星様になった(4)

ゆめ ゆめは、かれこれバターが子猫としてやってきたときから、ずっと一緒に暮らしてきた。本当に文字通り、ずっと一緒に暮らしてきたのだ。

 牽制しあったり、追いかけたり、バターに威嚇されたりしていたけど、バターはゆめを頼りにしていて、ゆめもバターのことが大好きだった。

クリックで拡大

バターを探し続けて

 バターがいなくなった後、ゆめは、人間を玄関まで出迎えに来るたびに、何度も後ろを振り返っては、不思議そうにくるくる回っていた。たぶん「あれ? バターは??」と探していたんだと思う。

 いつも人間が帰宅すると、ふたりで鼻と鼻をくっつけて「よかったね」と挨拶していたのに、その相手がいないのだ。

 バターがよく入っていた洋服ダンスや、バターの指定席だったキャットタワーの最上部をつめては「にゃぁああお~」と、バターを呼んでいた。

 ゆめ自身は入ろうともしなかった押し入れの中や、戸棚などバターがいそうな場所に入り込んではゴゾゴソし、バターを探していた。

バター捜索が本格化

 バターがいなくなって三日ほどたった頃から、ゆめのバター捜索が本格化した。

「いよいよバターが、本当に見当たらない」と思ったのか、ゆめは「ぎゃぁああおおう」とものすごいけたたましい声を上げながら、1Fから3Fまでをフルに行ったり来たり走り回ってはバターを探していた。

 そして、あの犬並みに食べる大食らいのゆめの食欲が、落ちた。
 
 このままでは、ゆめまで死んでしまうのではないかと心配になるくらい、ゆめはしばらくの間、食べ物も口にせず、必死でバターを探していた。
にほんブログ村 猫ブログ 地域猫へにほんブログ村 猫ブログ MIX三毛猫へ

そしてバターはお星様になった(5)

ゆめ そして、いよいよバターがいないと確信した頃から、ゆめは急にとんでもなく人間に甘えるようになった。

 それまでのゆめは、いわば「孤高の猫」。バターのように寝室に来ることもほとんどなかったし、抱っこされるのは大嫌い。足下にすり寄って来ることはあっても、膝の上に載ることなんてめったになかった(パソコンのモニターの前を陣取って「撫でろ!」と言うことはあったけれど)。

クリックで拡大

ゆめがバターになった?!

 ところが、まるでバターのようにいつでも人間を探しては、後をくっついて歩くようになった。
 ほとんど上らなかったキャットタワーの最上部に座ったり、人間の膝の上で眠ったり、抱っこを催促するようになった。まるでバターがゆめの中に入り込んだみたいに。

 もしかしたら、バターがいなくなって、不安で寂しいのかもしれない。いや、もしかしたら、「今まではずっと、バターに遠慮していただけだったのかもしれない」とも思う。

 ゆめはとっても平和主義だ。必要以上に人にまとわりつくことはなかったが、だからと言って見知らぬ人でも警戒しようとはしなかった。何しろ、犬やカラスとも友達になってしまうような猫だ。

 だから、後からやって来た、ちび猫のバターを思いやって、ごはんのときも、甘えるときも、眠るときも、「一番いいもの」をバターに譲ってきただけだったのかもしれない。13年間ずーーーっと。

まだまだ時間が必要

 今もまだ、バターはゆめの姿を借りて、その存在をアピールしてる。時折、本当にゆめをバターと見間違うこともある。

 それだけでなく、靴の中、タンスから取り出した洋服、ときには食品棚に置いた乾物類の袋の中から?! バターの毛が現れて、存在感を示している。
 かつては「あー、こんなところにも毛が付いてる!」と払い落としていたのに、今はそれができない。それもバターの一部だと思うから・・・。

 バターがいなくなったことを認めるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
にほんブログ村 猫ブログ 地域猫へにほんブログ村 猫ブログ MIX三毛猫へ
ブログリニューアル
このブログは「ミーちゃんを探して」を2017年2月20日にリニューアルしました。
ブログについて
さいたま市岩槻区で地域猫として住民に愛されていた三毛猫の「ミーちゃん」。 このブログはまず、2008年に行方不明になったミーちゃんの情報収集のためにつくられました。 […続きを読む
プロフィール
カテゴリ
本 (8)
RSSリンクの表示
迷子のミーちゃん
迷子のミーちゃん表紙
先生と迷い猫
先生と迷い猫
ブログランキング
にほんブログ村 犬ブログ 犬 闘病記(永眠)へ
にほんブログ村 猫ブログ 地域猫へ
にほんブログ村 猫ブログ MIX三毛猫へ
月別アーカイブ
09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  10 
検索フォーム
最新コメント
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新トラックバック
カウンター
最新記事
ページへ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク
QRコード
QRコード