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でんすけ、天に昇る(3)

見上げるケフィ 霊園からの帰り、「でんの供養に」とお寿司屋に寄った。家人が「このマグロうまい!」と言ったのを聞いて「じゃあ、でんにも・・・」と言いかけてはっとした。
 もうでんはいないのだ。

 でんが我が家の猫になってから、もうずっとずっと、お寿司屋に行ったときには、でんの好きなマグロや鰹をお土産に持ち帰るのが決まりだった。でも、もうそれはできない。

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もう何もしてあげられない

見つめるでん 歯磨きをしていると、「空いている方の手で撫でてよ」と寄ってきたでん。だからいつも歯磨きはでんを膝の上にのせ、撫でながらしていた。でも、もうそれはできない。
 冬になるとストーブの前で「点けて」と両目ウィンクをしていたでん。でも、もう点けてあげられない。寝床に潜り込んできて「あおーん(ふとんをめくって中に入れてよ)」と鳴いたでん。もう、布団をめくって招き入れることもない。

 抱っこも、シャンプーも、ブラッシングも、腕枕も、もう何もしてあげられない。家族旅行も、もう連れて行ってあげられない。こんなに愛しているのに。そのことが悲しい。


ケフィもでんを探している

 今も、帰宅すれば、駐車場の隅っこにでんすけを探してしまう。お風呂に入ればでんすけの姿がガラスの向こうに見える気がするし、ご飯を食べていれば「何食べてるの? お魚ないの?」と首をかしげてるでんが足下にいる気持ちになってしまう。

 ケフィもそうだ。ずっとでんを探している。でんがいたあたりの匂いを嗅いでは振り返り「でんを迎えに行かないの?」と言いたげに、私を見つめる。でんの部屋にお線香をあげていると、中をのぞきこんでは「でん、いないの?」と不思議そうな顔をする。

「あたし、幸せだったよ」

 でも実は、別れの予感もあった。亡くなる数日前の夜中。でんの命の火が消えようとしていることが悲しくて泣きながら撫でていたときのこと。私の膝にいたでんがふいに顔を上げ、目が合った。ここのところ首も上がらなかったでんが、ぱっちり目を開け、元気なときと同じきらきらしたエメラルドグリーンの目でしっかりと私を見つめ、こう言った。

「なんで泣いているの? あたし、幸せだったよ」

 その頃の私は「少しでも長く生きて欲しい」と思う反面、心配で夜も眠れない不安な生活を苦痛に感じ始めていた。そんな私の気持ちを察したかのように緑色の目は語っていた。
「もう十分。あたしは十分かわいがってもらったし、人生を十分楽しんだから」

 そして数日後、本当にあっさりと、まるで眠るように逝ってしまった。
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君がいるから、人生は面白い(1)

宿でお気に入りだったトイレの場所「あたし、幸せだったよ」

 そう言ってでんすけが天使になってからもうすぐ1月になる。
 この間に、待ちに待った『先生と迷い猫』も公開の日を迎えた。ネットで見ると、評判も上々のようだ(先生と迷い猫に関するみんなの感想

 でも、1月がたっても私は相変わらず、でんすけがいなくなったことを受け入れられずにいる。

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朝の日課

宿の玄関。トイレが終わると自分で部屋に入ろうと戻ってきた 朝起きると、隣に寝ているはずのでんすけをつい探してしまう。私が起きると一緒に起き上がり、私が窓を開けると一緒に窓から外をのぞいて公園の様子をうかがっていたでん。私が再びごろんとすると「あ、二度寝するの?」と定位置の右脇の下に潜り込んできた。

 私が起き上がって1階に降りると後を付いてきてご飯の催促。満足すると朝の散歩&トイレへ。冬はストーブで暖まってからでかけるのが日課だった。

 戻ってくると「あっかーん!」「あっおおーん!」「うぉー!」という、なんとも表記が難しい、だれもが「こんな声を上げる猫は初め」と驚く雄叫びを10連発ほど。それが「帰って来たぞ!」の知らせ。「お帰りー」と答えないとしつこく鳴き続ける。


安眠妨害も日常茶飯事

 昼間は季節に応じたお気に入りの場所で昼寝。小春日和の冬には花壇かデッキで。曇りがちならストーブの前か猫こたつ。夏は自分のベッドで丸くなり、春や秋は微妙な変化に合わせて2Fの納戸、私の布団の上、居間のクッションなどをわたり歩いていた。
 
 私が家にいて仕事をしているときは、パソコン周辺や足下が定番の昼寝場所。夜は私が電気を消すと(なぜ分かるのかは謎)、例の怪獣のような雄叫びを上げて寝室に入ってきて、私が読んでいる本の上に乗っかて「早く寝ようよ」と邪魔をした。
 
 本を引っ張っても、本の位置を変えても、退いてくれないでんすけに根負けし、電気を消すと満足そうに右脇の下に滑り込んできて、私の二の腕を枕に丸くなる。夜中は1~2回のパトロールに出るたび、そして帰って来るたび、例の雄叫びを上げて私の安眠を妨げてくれたものだ。

 すべてがまるで昨日のことのようなのに、もう二度と無いことなのだ。
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君がいるから、人生は面白い(2)

まぶしいときは目をふさいで昼寝
 でんすけがうちの猫になったのは17年前の9月半ば(たぶん13日)だったから、まるまる17年、私の側にいてくれたことになる。
 なぜはっきり日にちを覚えているかというと、その日は、でんすけが家のガレージで子猫を産み、「この家で暮らすぞ!」と宣言した日でもあるからだ。

 台風接近のニュースが騒がしかったその日、いつもは夜にやってくるでんすけが朝から庭で大騒ぎしていた。

 警戒心が強く、賢かったでんすけは、(当時は)めったに自分から声をかけてくることはなかった。いつもじーっとたたずんで、私が外に出てくるのを待っていた。逆にそのけなげさが不憫で気にかけてしまったものだ。

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「台風が怖い?」

お気に入りのトトロの毛布にくるまって なのにその日は違った。ゴハンをあげても座布団を敷いてあげても「ぎゃぁおー!」というものすごい声で何かを訴え続けている。

「風が強くなったから台風が怖いのかな?」

 そう思った私は、座布団を一段高い縁側に乗せ、その周りをついたてなどで囲い、ゴハンや水を周囲に設置した。もとから屋根はあるので、周囲を囲んであげればかなり風は避けられずはずだ。

 でんすけは安心したのかようやく静かになり、座布団の上に丸くなった。


我が家を出産場所にセレクト
 
「やれやれ」と思ったのもつかの間。しばらくして様子を見ると、なんと赤い血の塊のようなものがポロポロと座布団のうえに乗っかっている。

「なに、今の?」

 人はあまりに驚くと二度見するのだ。私も一回目をそらしてから、もう一度よーぉく見た。すると、でんすけの周りには5匹の新しい命が!

 でんすけは出産場所に我が家を選んだのだ。
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ブログリニューアル
このブログは「ミーちゃんを探して」を2017年2月20日にリニューアルしました。
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さいたま市岩槻区で地域猫として住民に愛されていた三毛猫の「ミーちゃん」。 このブログはまず、2008年に行方不明になったミーちゃんの情報収集のためにつくられました。 […続きを読む
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